○栄町環境基本条例

平成10年12月11日

条例第29号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策等(第8条―第20条)

第3章 地球環境保全の推進(第21条)

第4章 環境の保全及び創造の推進体制等(第22条・第23条)

第5章 環境審議会(第24条―第31条)

第6章 補則(第32条)

附則

わたしたちのまち栄町は、北を利根川、南を印旛沼に囲まれ、東には北総台地が広がり、水と緑に恵まれた豊かな自然環境と、古代から丘陵地を中心に集落が形成され、多くの歴史的遺産と文化を持ったぐい稀な生活環境を有している。

わたしたちは、こうした自然条件と文化条件とを基盤に、「水と緑の田園観光都市」構想のもと、自然と人と生物とが共生する、健康で快適な薫り高い文化をもつ活力あるまちづくりを進めてきた。しかし、近年の環境問題は、これまでの産業公害の防止及び環境保全から都市・生活型公害問題、廃棄物の量の増大等による環境への負荷の高まり、身近な自然の減少による環境問題等、大きく変化している。また、地域の環境問題にとどまらず、地球環境問題も現実のものとなっている。

わたしたちは、先人たちがたゆまぬ努力で守り育ててきた豊かな自然環境の恵みを、広く現世代の人々が享受することができるようにするとともに、環境の保全上の支障を防止し、持続的発展が可能な社会の構築を図り、将来の世代の人々にこれらが継承されるように、町・事業者・町民等すべての主体が、自主的・積極的に健全で良好な環境の保全と創造に努める責務を有する。

わたしたちは、このような認識のもと、現在及び将来の人々が健康で文化的な生活を確保する環境の保全と創造を図り、後世に誇れるまちづくりを目指し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全及び創造について、基本理念を定め、並びに町、事業者及び町民の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の町民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに町民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。以下同じ。)、土壌の汚染、騒音、振動、地下水位の著しい低下、地盤の沈下(鉱物の採掘のための土地の掘削によるものを除く。以下同じ。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全及び創造は、現在及び将来の町民が健全で良好な環境の恵みを受けられ、その環境が将来にわたって維持されるよう適切に行われなければならない。

2 環境の保全及び創造は、社会経済活動その他の活動による環境への負荷をできる限り低減することその他の環境の保全及び創造に関する行動がすべての者の公平な役割分担のもとに自主的かつ積極的に行われるようになることによって、健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、持続的に発展することができる社会の構築を旨とし、環境の保全上の支障を未然に防止するよう行われなければならない。

3 環境の保全及び創造は、環境の自然的構成要素が良好な状態に保持され、生物の多様性が確保され、及び人と自然が共生できるよう多様な自然環境が体系的に保全されることにより、地域の自然、文化、産業等の調和のとれた快適な環境を実現していくよう行われなければならない。

4 地球環境保全は、地域の特性を活かして、国際協力の見地から積極的に推進されなければならない。

(町の責務)

第4条 町は、環境の保全及び創造を図るため、町民の意見を尊重して地域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害を防止し、環境への負荷の低減に努め、又は自然環境を適正に保全するため、その責任において必要な措置を講ずる責務を有する。

2 事業者は、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合にその適正な処理が図られることとなるように必要な情報の提供その他の措置を講ずる責務を有する。

3 前2項に定めるもののほか、事業者は、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するために必要な措置を講ずるよう努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。

4 前各項に定めるもののほか、事業者は、その事業活動に関し、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、町が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

(町民の責務)

第6条 町民は、環境の保全上の支障を防止するため、その日常生活において、環境への負荷の低減に配慮し、公害の防止及び自然環境の適正な保全に自ら努めなければならない。

2 前項に定めるもののほか、町民は、町が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有し、地域の環境保全活動に積極的に参加するように努めるものとする。

(施策等の公表)

第7条 町長は、毎年、環境の状況、環境の保全及び創造に関する施策の実施状況等を公表するものとする。

第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策等

(環境基本計画の策定)

第8条 町長は、環境の保全及び創造に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、栄町環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全及び創造に関する長期的な目標

(2) 環境の保全及び創造に関する施策の方向

(3) 前各号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 町長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ栄町環境審議会の意見を聴かなければならない。

4 町長は、環境基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(町の施策の策定等に当たっての配慮)

第9条 町は、施策に関する計画の策定及び施策の実施に当たっては、環境の保全及び創造に十分配慮しなければならない。

(環境の保全上の支障を防止するための規制)

第10条 町は、環境の保全上の支障を防止するために、次の各号に掲げる必要な規制の措置を講ずるものとする。

(1) 大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染又は悪臭の原因となる物質の排出、騒音又は振動の発生、地下水位の著しい低下又は地盤の沈下の原因となる地下水の採取その他の行為、土地利用及び公害の原因となる施設の設置に関し、公害を防止するために必要な規制の措置

(2) 自然環境を保全することが特に必要な区域における土地の形状の変更等の自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれのある行為及び採捕、損傷その他の行為であって、保護することが必要な野生生物、地形若しくは地質又は温泉源その他の自然物の適正な保護に支障を及ぼすおそれのあるものに関し、その支障を防止するために必要な規制の措置

(3) 公害及び自然環境の保全上の支障が共に生ずるか又は生ずるおそれがある場合にこれらを共に防止するために必要な規制の措置

2 前項に定めるもののほか、町は、人の健康又は生活環境に係る環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講ずるように努めなければならない。

(環境の保全に関する協定の締結)

第11条 町は、環境の保全上の支障を防止するため、事業者等と環境の保全に関する必要な協定を締結するように努めるものとする。

(環境の保全上の支障を防止するための経済的措置)

第12条 町は、事業者又は町民が自ら環境への負荷を低減するための施設の整備その他の適切な措置をとるように誘導することにより環境の保全上の支障を防止するため、必要かつ適正な助成措置を講ずるものとする。

2 町は、事業者又は町民が自ら環境への負荷の低減に努めるように誘導することにより環境の保全上の支障を防止するため、適正な経済的負担を求める措置について調査及び研究を行い、その結果、その措置が特に必要であるときは、町民の理解のもとに、その措置を講ずるように努めるものとする。

(環境の保全及び創造に関する施設の整備その他の事業の推進)

第13条 町は、緩衝緑地その他の環境の保全上の支障を防止するための施設及び下水道その他の環境の保全上の支障の防止に資する施設の整備その他環境の保全及び創造に関する事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

2 町は、公園、緑地その他の公共的施設の整備その他の自然環境の適正な整備及び健全な利用のための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(環境への負荷の低減に資する製品等の利用の促進等)

第14条 町は、環境への負荷の低減を図るため、町民及び事業者とともに、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量が促進されるように努めるものとする。

2 町は、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、製品、役務等の利用が促進されるように努めるものとする。

(町民等の意見の反映)

第15条 町は、環境の保全及び創造についての施策に町民の意見を反映させるため、環境の保全及び創造についての施策のあり方等について町民等から提言を受けるための措置その他必要な措置を講ずるものとする。

(環境の保全及び創造に関する学習の推進)

第16条 町は、町民及び事業者が環境の保全及び創造への理解を深めるとともに、これらの者の環境の保全及び創造に関する活動を行う意欲が増進されるようにするため、環境の保全及び創造に関する学習の機会の提供、広報活動の充実その他必要な措置を講じ、環境の保全及び創造に関する学習の推進を図るものとする。

(民間団体等の自発的な活動を促進するための措置)

第17条 町は、町民、事業者又はこれらの者の構成する民間の団体が自発的に行う緑化活動、再生資源に係る回収活動その他の環境の保全及び創造に関する活動を促進するため、必要な支援措置を講ずるものとする。

(情報の提供)

第18条 町は、町民に対して環境の状況その他の環境の保全及び創造に関する必要な情報を適時に、かつ、適切な方法で提供するように努めるものとする。

(調査の実施)

第19条 町は、環境の状況の把握又は今後の環境の変化の予測に関する調査その他環境の保全及び創造に関する施策の策定に必要な調査を実施するものとする。

(監視等の推進)

第20条 町は、環境の状況を把握し、及び環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するため、必要な監視、測定、試験及び検査の体制を整備するとともにその実施に努めるものとする。

第3章 地球環境保全の推進

(地球環境保全の推進)

第21条 町は、地球環境保全に資する施策を積極的に推進するものとする。

第4章 環境の保全及び創造の推進体制等

(環境の保全及び創造の推進体制の整備)

第22条 町は、町、事業者及び町民との協力により、環境の保全及び創造を推進するための体制を整備するものとする。

(他の地方公共団体との協力)

第23条 町は、広域的な取組が必要とされる環境の保全及び創造に関する施策について、他の地方公共団体と協力して、その推進を図るものとする。

第5章 環境審議会

(設置)

第24条 環境の保全及び創造に関する施策の総合的、計画的な推進について調査審議するため、環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定により栄町環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(所掌事務)

第25条 審議会は、町長の諮問に応じて、次の各号に掲げる事項を調査審議する。

(1) 環境基本計画の策定及び変更に関すること。

(2) 環境の保全及び創造のために必要な施策に関する重要事項

(3) その他環境の保全及び創造に関して必要な事項

(組織)

第26条 審議会は、委員10人以内をもって組織する。

2 委員は、次の各号に掲げる者のうちから町長が委嘱する。

(1) 町民 5人以内

(2) 識見を有する者 5人以内

(任期)

第27条 委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(会長及び副会長)

第28条 審議会に会長及び副会長各1人を置き、委員の互選により定める。

2 会長は会務を総理し、審議会を代表する。

3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。

(会議)

第29条 審議会の会議(以下「会議」という。)は、会長が招集し、議長となる。

2 会議は、委員の半数以上の出席がなければ開くことができない。

3 会議の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

(関係者の出席等)

第30条 会長は、必要に応じて、特定事項を調査審議するため、部外の関係者の出席を求め意見を述べさせ、又は必要な資料の提出を求めることができる。

(庶務)

第31条 審議会の庶務は、環境保全主管課において処理する。

第6章 補則

(委任)

第32条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、町長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成11年4月1日から施行する。

(栄町環境審議会設置条例の廃止)

2 栄町環境審議会設置条例(平成6年栄町条例第12号。以下「旧条例」という。)は、廃止する。

(経過措置)

3 この条例の施行の際現に旧条例第3条第2項の規定による栄町環境審議会の委員に委嘱されている者は、この条例の施行の日に第26条第2項の規定による審議会の委員に委嘱された者とみなす。

(平成14年6月13日条例第20号)

この条例は、平成14年7月1日から施行する。

(平成15年3月19日条例第11号)

この条例は、平成15年4月1日から施行する。

(平成16年6月18日条例第9号)

この条例は、平成16年7月1日から施行する。

栄町環境基本条例

平成10年12月11日 条例第29号

(平成16年7月1日施行)

体系情報
第7類 生/第4章 環境保全
沿革情報
平成10年12月11日 条例第29号
平成14年6月13日 条例第20号
平成15年3月19日 条例第11号
平成16年6月18日 条例第9号